謙虚でありませう
某日、神戸に向かうJR。
久し振りのJRである。ゆっくり読みたい本を読もう!
と、私はいそいそと「サックス博士の片頭痛大全」をひろげた。
私はサックスにプチはまっている。 サックスと出会い、私は自分の体の状態について事細かに試作し、分析的に感じることを考えるようになった。
で、この本もちょっとマニアな本なので、軽く読めるような内容ではないのである。
読むのに気合いがいる。
暇がないので、電車の中とかでちょろっと読むのを超楽しみにしているのだった。
で、眉間にしわを寄せ、でかい頭を小さな文庫本に押し付け電車に座っていると、頭の上から「もー70歳になって、ひざが悪いのは座ってないとやられへんわ」「なんぎやなぁ」
という声がふってきた。
そんな言葉を聞いたら、人助け友の会の会員としては、必ず座席は譲ってしまう。
「姉さん気がつかずにすんません」
てな。もんである。
そして、私はまたまた本の世界に埋没したいと本をひろげようとしたその時、
「いや。すいませんねぇ。私、先日、足をひねってリンパが腫れましてねぇ」
「そうですか。大変でしたねぇ」
「もう1週間寝たきりですわ。息子が世話してくれて…」
「それは大変でしたが、お優しい息子さんがおられてお幸せですねぇ」
自分で言うのもなんだけど、お店の子として育った私、ついつい愛想よく返事をしてしまう。
それが病み上がりに人情に当たった姉さんの喋り魂に火をつけてしまったようだ。
おばさんの仕事。
おばさんの夫は早くに死んだこと。
おばさんの子供の数。
おばさんの孫の数。
おばさんが今から行くところ。
おばさんが先日出席した最後の息子の結婚式の写真。
おばさんの新しい嫁の話。
おばさんが今までやってきた立派な人助けの話。
をフルコースで聞かせてもらうことになった。
神様は私に何を伝えるためにこのような苦難をお与えになるのか?
と自問していると、オバサンはカバンから漬物を出してきた。
!
もしかして。
「これはね。今から行く亡くなった夫の弟の所に好きやから持って行くんですわ」
と、かぶらの漬物の簡単な作り方について教えてくれた。家で採れたカブラで作ってとてもおいしいのだそうだ。
神様!ま、神戸うろうろするのに漬物持って歩くのもつらいけど、もらったら私は持って帰りましたが。
電車はあっという間に神戸についてしまった。
いや。ホンマ。
あんまり自慢話はしないようにせいよという話かもしれんと。
私は神様を思い空を仰いだ。
神戸は雪が降っていた。
先日、お友達が遅ればせながら結婚式をしてお写真をくれた。5種類。
私が写っているわけじゃなく、本人だけが写っている写真である。
何枚もプリントして配っているようである。私には特別にCDまでくれた。
たぶんな。なんぼキレイというてそこまでいらんのんじゃないだろうか?
アイドルのプロマイドではないんやから。いや。もちろん私はアンタが大好きやし
結婚もうれしいし、写真も欲しいけど!!
と薄く感じたが、もらって…。持って帰るのを見事に忘れてしまった。
すんません。
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