本当の愛を待っていた
Fの話をしよう。
男が「一生めんどう見てくれる」と言ってくれたから、唯一自分名義で持っていたマンションを売り払って、300万ほど持って男Kに走ったF。 家には未婚の母となって育ててきた自分の娘、小学校2年生とFの母親と父親が残された。 最初は行ったり来たりしていたが、だんだんと帰ってこなくなり、やがて完全に音信不通となった。
私にも連絡してみてくれと言われて手紙を書いてみたりしたが、もう4年ほど連絡が取れなくなっていた。ところが、Fは栄養失調などの病気になって緊急入院。 なぜか彼女は私の名刺を握っていてそれで私に連絡があった。いっしょに住んでいた「一生めんどうを見てくれる」と言った男は、病院が何度電話しても電話に出なかったという。 もう2年ほど前のことである。
私が実家に連絡し、実家は実の妹に連絡して病院の手続きをした。
ほんまに迷惑な話だった。
でも、そのFの家庭も崩壊していて、そのことはいつかまた書きたいと思うけど。
つまりは、私から見たら結果としてFは実家にも妹にも見捨てられたと思う。 まぁ35歳も過ぎた女のやったことの大きさは確かにあって、自業自得というやつだけど。 ちなみに、お婆ちゃんが育てていたFの娘は、施設に入り、今は実のお父さんの所に引き取られて幸せになっている。
Fは精神分裂病で20代の頃、入院したこともあり、皆が怖がっているというのもあった。
で、それだけひどいめに合わせた男の所になぜか彼女は退院して、結局いっしょに住んでいたのだ。誰も引き取り手がなかったのである。 彼女の精神病の病状はひどくなる一方になり、夜中に私の留守番電話がいっぱいになるようなこともあった。 で、いっしょに住んでいる男Kも相当困ったようで、私にこれまた電話があった。
「病院に連れて行くしかないと思うよ」と私が言うと、「申し訳ないが連れて行ってもらえませんか?」と言いやった。 もう、その段階でシバキやこのブタ男。と思ったが、アホにアホ言うてもしかない。 で、私が彼女を私の家に泊めて「あなたそれは病気なんよ。いっしょに病院に行こう。私のことは信用できるやろ」とこんこんと説得して翌日無事に病院に連れて行ったのである。
精神分裂病の患者にとって、病院に行くと殺されるのではないかという妄想が出て、本当に怖かったり、自分を誰かが殺しに来るよな妄想が延々と続くのだそうだ。
で、病院に行くと処方された薬でびっくりするほど改善した。 その後もソワソワ感とか、寂しくてたまらないという精神状態も、投薬を続けながら、病院のリハビリに行くことで本当によくなっていったと思う。
それでも、Fは今だに可哀相に家族からは色眼鏡で見られているようで、いろんなことにのけものにされているようだ。 そして、これまたFはそれが今ひとつわかってないというのが可哀相なところである。
そして、いっしょに暮らしている男は、もちろんFを困った時にお金が欲しかっただけであり、
別に好きでもなければ何でもないのだ。 それでもFは「私が選んだのはあなたなの」といようなことを言いながら、いっしょに暮らしていた。 そして、スロットのイベントの時に朝から俺の代わりに並んでおけとか、俺の代わりに打ってこいとか、そういうことで利用されながら、一応ご飯は食べさせてくれるというような生活をしていた。 FはKといっしょに8年間いっしょに暮らしたが、その間にユニクロで1度だけ洋服を買ってもらったことがあるだけで、そのユニクロの服がボロボロになっても着ていた。 私は見かねて友達のFと同じような背格好の子のいらない洋服をもらってあげた。
精神病手帳も申請し(彼女は嫌がっていたが、私がそんな嫌がっているというのは甘えやでと説教して取らせた)生活保護も申請できると思うが、今度は男といっしょに住んでいるから取れないということだった。 男が出て行ってくれたらいいんだけど…と思っていたけど、男も職場に近いFが借りた家を出て行きたくなかったようである。 互いにお金がないというだけで、だらだらと共同生活が続いていた。
そうこうしているうちにFの父親が病気になって死んだ。
彼女が最後に父親に向かって言うたのは、fの精神病の状態がひどかったときに、夜中に親に電話して「死ね!ばかやろう」と親に向かって言うたことが最後で、入院中にお見舞いに行っても、もうこん睡状態だったという。 それを私にFはとても辛いと泣いた。
先日、そんなFから電話があった。
男Kの勤めていた松下の工場が、尼崎に移転することになったのだという。 で、いよいよ男K「一生めんどうは見れない」とか、来年をめどに尼崎に引っ越すから、とか言い出したという。
彼女は当然「いっしょに行きたい」と言ったが、「ここで生活保護もらったらいい。俺は休みの日にスロット打ちに来るとき泊まるから」というようなことを言い出したそうだ。
もう、オマエ、そんな男を信じるんか?まだ? と私がアキレハテテ言うと、Fも「休みの日に疲れて寝てしまう人なのに、そんなスロットを打つだけのために、尼崎から高槻まで来たりしないと思う」とまともなことを言う。
で、今回のFの相談はそんなことではなかったのである。
いっしょの病院にリハビリに通っているウツ病の男性からラブレターをもらったのだと。
「それがね。お父さんと同じ名前が一字入っててね。お父さんと同じ田舎の出身の人なんだ」と。
これを信じていいものだろうか。 と。
そんなもの信じるも、信じないもないやろと。 ありがとう。 まずお友達から始めましょうてなもんじゃないのか? と私が言うと、新しい彼氏候補は、「あなたと老後をいっしょに過ごしたい、結婚も考えています。まずいっしょに住んでいる男と別れて、生活保護を受けて自立してください。それからだと思います」と連綿と彼女の生活と精神の自立について書いてきてくれたのだという。
よかったなぁ。ええ人やんかと。 確かにその人は死んだお父さんからのメッセージなんじゃないかね。
と喜んであげた。
電話のすべりだしは、私は、男Kに腹が立ってたまらず「絶対に慰謝料取れ!」とか叫んで、どうやって成敗したろうかと人ごとながらウンウンと考えてしまった。 しかし、その新しい彼のことを聞いていて、もう、何もかもがFにとって完璧に準備されていることのような気がしてきた。
まぁ、考えてみたらFも悪いし、病気もよくなってきて、互いに自然にお別れするのが一番いいかもしれんねと。 どうせ、しぼってもあのKからお金なんて出ないし、速やかに穏便にキレイに出て行ってもらうほうがいいかもしれん。 と、伝えた。 (でも、一回くらいは私が極上のイヤミを留守録に入れてやってもいいが)
で、Fに言うたのが、ネッコはあんたええ子なんちゃう? だから私という知り合いもいて、そういう神様みたいなことを言うてきてくれる人もいて、運があるじゃないかな。 頑張って、自立してみたら。 と伝えた。
彼女はいつも病気になるほど本当に愛してくれる人を待っていたのだ。
そして、それには精神も生活も自立することがまず必要なんだと。
それにしても、どうして私にはそういうすばらしい彼氏とかよってこないのだろう! と言うたら、
Fが私に「郷ひろみにクドカレた女やん。佐伯は…」と言ってくれた。
ま。 そういうことで…いいけど。
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