2006年10月10日火曜日

無責任で子どもな母親が子どものままの大人を作る

統合失調症で精神病院に通うようになったYは、薬のおかげでかなり調子がよくなったが、本来の性格というか性分というかそういう「そわそわ症状」が出てきた。

 映画を見に行きたいと彼女が言うので、何かやりたいという気持ち出てきたことはいいと思って、いっしょに行くことにした。映画を見て、簡単な食事をして別れる段になってあいつは


 「いやや~。もうちょっといっしょにおって~。さびしい~」という独特の症状を訴えた。

45歳の女がそういうことを言うことが精神病なんだと思うけど、違うと医者は言う。
これは精神病ではない。彼女の本来の性格なのだと。


夜の12時から深夜2時半まで車の中で喋った。

 いつも楽な方を選んできたらか、そういう病気になったんだと。 それは病気じゃない。
 オマエの性格が弱いだけだ。

私がFが可哀相だなと思うのは、Fの母親もまったく同じような態度をするということである。
「さいきさ~ん。そんなこと言わないでください。私ももうどうしたらいいんだか…」

 判断力も行動力もない。誰かに常に依存して辛いことは我慢することで生きてきただけの人。


 無責任でしっかりしていない母親が、フワフワした気まぐれな愛情を娘に注ぐ。
 父親とうまくいってないから、寂しいから娘を溺愛する。 
 そして、何もできない、わがままな性格の娘ができてしまう。
 やがて成長して恋愛をする。親が反対しても強引に結婚とかしてしまう。
 うまくいかない。 ガマンができない。 ワガママだから。
 そして、母親は年老いたワガママな娘をどう扱っていいかわからなくなり、見捨てる。


私は本来Fの母親がしないといけない説教を私はしてしまった。
正直に言った。

 「しばらく私をそっとしてくれ。オマエに依存されるのは辛い。自立しなさい。自立できる」
 
できん。できへん。 とFは浮かされたように言う。

 「いいや。できる。どんなレベルでもいい頑張れ。あなたのできる範囲でがんばれ。誰かになんとかしてもらう人生をこれ以上続けても、必ず最期は地獄や。それができんのやったら死ぬしかない。親はいつか死ぬ。彼氏やって先に死ぬかもしれない。じゃ、あなたは次はどうするの?道端でコジキになる勇気があるか?」
 なんで、そんな怖いこと言うの? 赤ちゃんのようにFが言う。

「怖いことじゃない。当然のことや。いつかは最期は一人になるのよ。そのことを考えないといかん」

 辛いことあったら私が何とかしてくれると思われても困る。

 常に楽な方を選んで生きることで、最終的には地獄に行く事をわからないといかん。

「あんたな。子育てしんどい。親のめんどうがしんどいと思っていた時に、楽だから男に走ったやんか。
それをガマンしてがんばっとったらな、今頃、娘のことで笑えることがいっぱいあったと思うよ。
また今、楽な方を探してももうこれ以上はないで」

 Fはそこで少し泣いた。

 あれから2度、電話があったが出ていない。 Fもそれきりで電話してこない。

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